突然の欠員補充や即戦力が求められる時など、必要な時にすぐ働いてもらえる「人材派遣」は、企業にとって様々なメリットがあるものです。
近年、日本でも多くのビジネスシーンに定着している働き方となっていますが、正社員といった直接雇用とはまた違うルールの上で、様々な業界で活用されています。
では、そんな人材派遣について、詳しくご解説していきましょう。
人材派遣の種類
人材派遣には大きく分けて、「登録型派遣(一般労働者派遣)」、「紹介予定派遣」、「常用型派遣(特定労働者派遣)」という3タイプがベースになっています。
人材派遣としての働き方には、正社員などの直接雇用やパートなどとは違い、派遣社員の雇用主(派遣元)が人材派遣会社であり、就業先が派遣会社と契約を結んでいる企業(派遣先)となるという特徴があります。
そのために、給与や福利厚生の調整、仕事の紹介、就業条件などについては、派遣会社が派遣先企業と交渉をし、派遣社員をしっかりとサポートします。
紹介予定派遣については、「紹介予定派遣について」という記事で詳細をご説明しましたので、そちらをご参照下さい。
こちらでは、登録型派遣と常用型派遣についてご説明していきます。
登録型派遣(一般労働者派遣)
人材派遣の約80%を占める「登録型派遣(一般労働者派遣)」は、派遣先での仕事を希望する人が、まずは人材派遣会社に登録を行い、自身の希望や条件などにマッチした派遣先が決まれば、雇用契約を結ぶことになります。
派遣会社としては、仕事が決まった時だけに雇用契約を成立させるため、効率的と言えるのですが、登録型の派遣社員にとっては、派遣先での就業期間を終え、次の派遣先が見つからなければ、無収入となるリスクは避けられません。
そのために、登録型派遣社員として働く場合、派遣会社を複数登録しておくことが一般的です。
ちなみに、登録型派遣事業は、厚生労働省の許可が必要です(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai06/manual.html)。
常用型派遣(特定労働者派遣)
仕事が決まった時だけ雇用契約が成立する登録型派遣に対し、派遣会社が一般的な正社員同様、無期限となる雇用契約を結んだ派遣社員のことを「常用型派遣(特定労働者派遣)」と言います。
当然ながら、この場合の派遣社員には、仕事の有無には関係なく、派遣会社から毎月の給与を受け取ることになっています。
つまり、就業期間が長期となる業務をメインとし、基本的に、特定の能力や知識、経験が必要な電気・機械関連のシステムエンジニアや設計、デザイナー、営業などといった専門業務が多くなっています。
そして、常用型派遣事業には、厚生労働省への届け出が必要となっています(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai06/manual.html)。
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人材派遣と請負業務(アウトソーシング)との違い
人材派遣は、「有料職業紹介事業」や「請負」など、似たような事業形態と混合されがちであり、人材派遣会社の多くが、有料職業紹介事業、請負などの事業も兼ねています。
ただし、有料職業紹介事業や請負においては、「労働者派遣法」の適用はされません。
有料職業紹介事業については、「紹介予定派遣について」で詳細をご説明していますので、ご参照下さい。
請負については、民法第632条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html#1003000000002000000009000000000000000000000000000000000000000000000000000000000)にて定義されていますが、両者の違いは、派遣先にて指揮命令を直接受けるという人材派遣に対し、請負では請負業者自ら指揮命令を行って、業務を完了させるまでの責任を負うということにあります。
人材派遣についての詳細をご紹介しましたが、ご理解頂けたでしょうか?
希望職種や条件、ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶのなら、人材派遣は最適な方法と言えます。
派遣事業とその法律
労働者とは、使用者より当然弱い立場にありますから、その権利などを守るために、「労働基準法」(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html)の他、様々な法律が適用されています。
人材派遣では、労働基準法をはじめとする労働法だけではなく、派遣という労働の仕方に特化した「労働者派遣法」(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S60/S60HO088.html)も適用されます。
この法律では、派遣事業での許可基準やその運営に関したルール、派遣社員の保護関連ルールなど、派遣社員の権利を守ることを目的に、派遣元はもちろん、派遣先が厳守すべき内容が定義されています。
労働者派遣事業では、禁止されている業務も定義されています(日本人材派遣協会(JSA) https://www.jassa.jp/corporation/tekiyoujyogai/01.html
業務開始までの流れ
派遣会社に登録
まずは派遣会社への登録を行います。
今では、自宅から行える「WEB登録」を用意している派遣会社も多くあり、登録がしやすくなっています。
登録の際には、希望する職種・勤務地などの条件、自身のスキルや経歴なども聞かれることがほとんどです。
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派遣会社よりお仕事紹介
登録時の希望情報をベースにして、その条件にマッチした仕事を紹介。
もちろん、希望に合っていない業務であれば、断ることもOKです。
多くの派遣会社では、サイトから自身で仕事検索ができるページも提供しています。
就業スタート
派遣社員と派遣先との合意により、就業開始となります。
この時に、派遣会社からは確認事項やアドバイスなども受けられ、他にもサポートが充実していますから、派遣先での就業期間中であっても、常にバックアップをしてもらえます。
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派遣社員として働くメリット
自身のライフスタイルや希望に合わせ仕事を選択できる
給与や勤務地はもちろん、労働の時間帯、曜日、残業の有無など、派遣会社には希望を伝えておきます。
その上で仕事を探してもらえますから、家事と育児の両立、プライベートを重視したい人には特に、魅力的な就業法と言えるでしょう。
様々な業務・職場の経験が可能
自身に合う仕事に就くことができる魅力以外にも、未経験OKの業務を選択してスキルを磨き、後にレベルアップの仕事に挑戦するなども可能です。
正社員では難しい人気企業なども多く、実力と努力次第で、実に様々な経験を積むことができます。
パートなどよりも時給は高め
スキルを活かした仕事をベースにしている派遣ですから、時給は高めの傾向にあります。
派遣先によっては、そこで働く正社員より月収額が高くなることも。
派遣元のフォローにより安心安全
仕事探し~紹介、就業~就業終了までと、派遣会社が完全サポート。
当然、派遣会社によっては対応方法に違いはありますが、近年では24時間体制サポートを行っている派遣会社もあるようです。
人間関係による悩みが少ない
派遣社員の仕事は、あくまでも契約範囲内と決まっていますから、企業のイベントや飲み会などで参加を強いられることはほぼありません。
正社員と違って、お付き合いや上下関係などで束縛されることが比較的少ないと言えます。
ただし、派遣先によって社風はそれぞれであり、気になる人は事前に派遣元の担当者へ確認を取ることが必要です。
仕事の掛け持ちが可能
派遣会社の多くが、Wワークを可能とし、複数の派遣会社に登録することもできますから、タイムスケジュールさえ上手く合えば、仕事の掛け持ちも十分可能です。
とはいえ、どっちつかずにしないためにも、自身の健康を考えながら、疎かにならないような頑張り方が大切です。
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派遣社員として働くデメリット
安定した収入が見込めない
ほとんどの派遣業務は時給制となっています。
大型連休がある月では、月収は大幅ダウンに。
収入が一定ではないことを理解し、健全な生活設計が必要になります。
責任のある仕事をあまり任せてもらえない
明確な仕事範囲がメリットになっている一方で、範囲外の仕事を任せてはもらえないことから、責任がある仕事や応用性が高い仕事を任せてもらえないことが多々。
必要であれば、派遣元の担当者に相談してみるといいでしょう。
契約期間での就業により、雇用は不安定
契約期間が決められた仕事ですから、派遣社員が仕事をこのまま続けたいと思っても、派遣先の都合により契約更新とならない場合も。
契約期間の終了後から次の派遣先が決定するまでに、スキルアップしておくことも重要です。
交通費や賞与などの支給はほぼ無し
ボーナスに加え、交通費も支給されないことがほとんどですが、比較的高い時給制であり、残業時間なども含めた場合、正社員よりも高い月収になる可能性もあります。
気になる人は、お仕事を紹介された時に、しっかりと確認しておくといいでしょう。
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