日本の主食と言えば、やはり「お米」ですよね。
ドイツではじゃがいも、イタリアではパスタなど、各国によって主食の違いは当然あるもの。
では、先住民を含め、多くの移民も住んでいるカナダの主食とは、一体何なのでしょうか。
今回は、気になるカナダの主食や一般的な家庭料理について、まとめてみました。
カナダの主食
冒頭でもお伝えした通り、カナダには先住民の他に様々な移民も住んでいます。
民族や地域によっても主食は様々なようですが、先住民の中でもファースト・ネーションとされるディネやグウィッチンという先住民の共同体に加え、イギリスやフランス、アメリカ料理などの影響も受けていて、パンやマッシュポテトなどが主流です。
また、メープルシロップの生産国として世界一を誇っていることもあり、メープロシロップがカナダの主食、と言っても過言でないようですね。
ただ、肉料理などの時に、お肉そのものを主食として考え、付き合わせにパンやライスなどを添える、ということが、カナダを含めて海外ではよくあります。
カナダの様々な家庭料理
カナダと言えば、厳寒、大自然、広大、多民族…そこに加えて、食材の自給率が世界最大規模ということもあり、食文化もまさに多種多様。
ではここで、カナダにおける、デザートも含めた一般的な家庭料理をご紹介していきましょう。
プーティン
カナダのフランス語圏となっているケベック州が発祥のプーティンは、フライドポテトにチーズ、肉汁から作られるグレイビーソースをプラスした名物料理です。
お店によっては、トッピングが違ったりして、様々な味が楽しめ、まさにやみつきになる料理。
カナダに行ったら、時にはカロリーや栄養価を気にせずに食べておきたい料理としてもおすすめです。
冬は特にとても厳寒のカナダですから、その寒さを乗り切るためにも、カロリー、塩分ともに高めのプーティンは大人気料理です。
チキンウイング
キリスト教国において一般的な料理となっているチキンウイング。
カナダでは、揚げた手羽先に甘辛ソースをからめ、サワークリームやチーズソースなどにディップして頂くことがベースです。
甘辛ソースの辛さは、自身の好みでUPすることも可能ですし、お店によってはテリヤキソース、バーベキューソースなども選ぶことができます。
チキンウイングにはセロリや人参などの野菜スティックが添えられており、お酒にもよく合う伝統料理の一つとして知られています。
また、ニューヨーク州のバッファローが発祥とも言われていて、バッファローウィングという名でアメリカでも有名な料理なのですが、カナダやヨーロッパ方面にも、ファーストフードとして知れ渡っています。
そして、自宅やスポーツバーなどで、カナダの大人気スポーツの一つ、アイスホッケーを観戦する時には、このチキンウイングと飲みやすさ抜群のカナディアンビールとの組み合わせが主流です。
ちなみに、カナダのご近所さん、アメリカでは、フットボールの観戦に、チキンウイングとビールの組み合わせが親しまれていますね。
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メープルサーモン
カナダは、世界で最大級のサーモン輸出国としても有名ですね。
カナダでのサーモン料理といえば、スモークサーモンやバーベキューサーモンも有名ですが、サーモンに、メープルシロップをメインとして様々な調味料を加え、オーヴンで焼き上げた料理、メープルサーモンもよく食されています。
海外では、ベーコンやブロックのハムにメープルシロップをかけて焼いたりしますが、塩味と甘味の丁度よいバランスは、食欲をしっかりと満たしてくれますよね。
スモークサーモン&サーモンジャーキー
大自然で育ったカナダ産サーモンは、引き締まった大きな身と栄養豊富な脂身もしっかりとあって、カナダでは必ず食べておきたい食材と言えるでしょう。
メープルサーモンよりも手軽に食べるとしたら、やはりどこででもお求めやすい低温燻製されたスモークサーモンがおすすめです。
また、スモークサーモン同様、人気があるサーモン製品では、サーモンジャーキーも試す価値あり。
カナダディアンビールのおつまみにピッタリです。
ちなみに、海外では燻製・ドライフードを自宅で作る人も多く、私もベーコンやビーフジャーキーを作ったりしますが、サーモンジャーキーはまだ作ったことがないのですよね。
でも、カナダへは過去に何度か旅行をしていて、必ずと言っていいほど、レストランではメインにサーモンを選び、スモークサーモンやサーモンジャーキーもとても美味しく頂いたので、私の中でカナダの家庭料理と言うと、サーモンを真っ先に思い浮かべます。
ロブスター料理
カナダ東部、ノバスコシア州で名物の魚介であるロブスターですが、当然カナダ全土で親しまれている食材です。
漁の時期になると、家族や親戚、友人たちが集まって、皆でロブスター料理を味わいます。
一般的な食べ方としては、茹でたロブスターの殻を取り除き、溶かしたバターに身をディップさせてから頂きます。
他には、ロブスターサラダや、ロブスターサラダをパンに挟んだサンドウィッチなどもポピュラーですね。
また、時期によっては、サブウェイやマクドナルドなどでロブスターなどを使ったシーフードメニューがスタートすることもあるようです。
フィッシュ&チップス
こちらは、イギリス料理の定番とも言える、フライドポテトを添えた白身魚のフライですね。
その昔、カナダはイギリスの領地となっていたので、リーズナブルなフィッシュ&チップスは、カナダでも人気B級グルメの一つとして、長く愛されています。
イギリスでは塩とお酢で食べることが定番ですが、カナダではタルタルソースとレモンの絞り汁をつけることが一般的。
ちなみに、日本人にとってチップスというと、ポテトチップスを思い浮かべますよね。
イギリスではフライドポテトのことがチップスという呼び名であり、ポテトチップスのことはクリスプスと呼ばれています。
マカロニ&チーズ
カナダでもマカロニにチーズソースを絡めた料理、マカロニ&チーズ(チーズマカロニ)は、一般的な家庭料理の一つになっています。
手軽に作れて、子供から大人まで多くの人に喜ばれる料理と言えるでしょう。
クラフト社が発売しているクラフトディナーという、インスタント商品を使った、大人気手抜き料理ともされています。
もちろん、インスタントではなくしっかりと手作りされる家庭も多く、シンプルではあるものの、マカロニやチーズの種類、使用する材料によって味にはかなりの違いが出る料理ですね。
ちなみに、私もよく作るのですが、我が家で人気のマカロニ&チーズは、トッピングとしてタバスコをかけたり、黒胡椒をたっぷりとかけたり、サルサをかけたもの。
トッピングによってまた全く違った風味が楽しめます。
マッシュポテト
こちらもとても手軽にできる料理で、カナダでも食卓によく出されています。
時に、マッシュポテトが主食となって、ハムや野菜などと一緒になっていたりしますよね。
我が家もマッシュポテトをよく作りますが、じゃがいもの種類によって出来上がり、味にかなりの違いが出ます。
余談ですけれど、マッシュポテトを作る時は多めに作っておいて、残りを翌日にはシェパーズパイにしたり、ピエロギ、ビシソワーズ、カレーにしたりと、しばらくじゃがいも料理を楽しむことが多いです。
カナダでもマッシュポテトをさらに調理するご家庭は多いはず。
モントリオール・ベーグル
カナダの大きな都市と言えば、トロントとモントリオール。
「北米のパリ」とも呼ばれるモントリオールで忘れてはいけない「食」と言うと、ベーグルのようですね。
アメリカはニューヨークもベーグルが有名ですが、モントリオールのベーグルはニューヨークスタイルと違って、生地には卵を使用し、生地を茹でる際に蜂蜜を入れたお湯を使っているとのこと。
そして形も、ニューヨークスタイルは丸みがありますが、モントリオールスタイルは手作り感を漂わせたねじり輪で、それぞれ若干違ったシェイプとなっていることが特徴的です。
プレーン、胡麻やけしの実などのトッピングがついたベーグルと、種類も豊富なので、早朝に焼きたてを買いに行きたいものですね。
そのままもちもち感を楽しみながら食べるのもよし、個人的には西洋わさびを加えたマヨネーズを塗り、カナダ産の味わい深いスモークサーモンを挟んで食べるのがおすすめです。
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ピエロギ
カナダの西部開拓時に最も多く移民してきた民族とは、ウクライナ人だったそうで、大きい餃子のようなピエロギというウクライナ料理もその時にカナダに伝わってきたようです。
餃子のように、小麦粉などで作られた皮でフィリングを包み込む料理は、世界各国、どこでも見られるような気がしますが、このピエロギの中身も、マッシュポテトと挽肉が一般的。
英語圏だとピロギーなどと呼ばれていることが多いですが、地域によって多くの呼び方があるようです。
ウクライナではファーストフード的な存在ですが、家庭で作るには、なかなか手間がかかりますよね。
私は皮から作りますが、フィリングにはマッシュポテトとほぐした焼きサーモンを入れることもあります。
ちなみに、ピエロギは我が家の人気料理の一つでもあります。
ジビエ料理
ジビエ料理は、カナダの先住民の一族、イヌイットより受け継がれた、まさにカナダにおける伝統の郷土料理です。
ジビエとは、狩猟で得た鹿や鴨、イノシシといった野生動物の食肉のことであり、野生動物自体が栄養分を蓄える時期、秋頃が旬になります。
ただし、カナダであってもジビエ料理をメニューにしているレストランは、それほど多くはありませんから、ジビエ料理を試してみたい方は、まずリサーチしておくといいでしょう。
アルバータ牛のサンドウィッチ
脂身が少なめで柔らかい赤身肉が特徴のアルバータ牛ステーキを、トーストにしたパンに載せた、カナダでよく知られている料理です。
ちなみに、カナダでは牛肉以外にも、バッファローやエルク(大角鹿)の肉も有名であり、ステーキやバーガーにして頂きます。
どちらも臭みはそれほど感じることなく、脂肪分が少なめで食べやすいと言えます。
私はエルクバーガーを何度か食べたことがありますが、少しドライな感じで、牛肉よりもとてもヘルシーなバーガーという印象を持ちました。
シェパーズパイ
一般的なシェパーズパイは、トマト風味で羊か牛の挽肉を調理し、オーブン用の器に盛り、マッシュポテトを上部に被せてオーブンで焼き上げます。
イギリスの伝統的な家庭料理で、イギリス移民からカナダに伝わったのでしょう。
カナダ人は、基本的にじゃがいもが大好きで、ポテトが使われる料理や添え物にポテトということは多々あります。
ちなみに、我が家でもよく作るシェパーズパイは、マッシュポテトにチーズとたっぷりのパセリを混ぜて焼き上げています。
カナダでも、家庭によって作り方、使う材料はちょっとした違いがあるかもしれませんね。
モントリオールの燻製肉
モントリオールでは、ファーストフード店やカフェなどで、スモークしたお肉を塊のまま、マスタードと一緒にパンに挟んで頂くことが流行っているそうです。
スモーキーな香り漂うお肉は、様々な料理にも使われています。
カナディアンベーコン
通常、ベーコンと言えばバラ肉が使われていますが、肩肉を使ったショルダーベーコンも有名ですね。
対してカナディアンベーコンでは、脂肪分が特に少ないヘルシーなロース肉が使われており、表面にコーンミールを塗った加工法が特徴です。
特に、メープルシロップに漬け込んだものが、伝統的なカナディアンベーコンとして有名です。
カナディアンベーコンは、ピーミールベーコン、コーンミールベーコンとも呼ばれているそうです。
様々な料理にも使われていますが、個人的にはカナディアンベーコンと聞くと、ピッツァを思い浮かべてしまいます。
私が若い頃、留学時代にも、カナディアンベーコンとパイナップルをトッピングしたピッツァを、友人たちとよく食べていました。
トロントのセントローレンスマーケットでは、このベーコンを使ったピーミールベーコンサンドウィッチが名物料理としてよく取り上げられているそうです。
通常のベーコンよりも脂身が少ないという点では、ダイエットにうまく使えそうな食材に感じますね。
クランベリーソース
日本ではあまり馴染みがない食材ですが、クランベリーは、湿地帯が多く分布するカナダで育ちやすい実とされており、その甘酸っぱさは、クリスマスなどで食卓を飾るターキーの伝統的なソースとして、北米では親しまれています。
ソースとはいうものの、食品の上からかける一般的なソースとは違い、缶詰のクランベリーソースには、ゼリー状に固まったものが多くあります。
デザート~スモア
北米では、キャンプなどの際に手軽に作れるスイーツとして、スモアが大人気。
スモア(S’more)は、“Some more“(もうちょっと)と、つい食べすぎてしまうほどの美味しさ、シンプルさということが、名前の由来と言われているようです。
マシュマロを焦げない程度に焼き、チョコレートと一緒に2枚のグラハムクラッカーで挟んで頂きます。
キャンプでなくても、暖炉やお庭での焚き火で作れますから、カナダの大自然の中で、友人、家族とともにスモアを食べながらの談笑は、カナダでのとてもいい思い出になるはず。
一般的な家庭料理、というほどではないかもしれませんが、夏の時期には特に、誰もがそれぞれで作る過程も楽しみながら頂けるスイーツとして、長く愛されているお菓子です。
子供の頃にボーイスカウトでスモアを腐るほど(笑)作っていた夫の作り方では、長めの枝を拾ってきて、枝先を殺菌目的で軽く焼いておきます。
そこにマシュマロを刺して、黒焦げにならないように注意しながら、表面をまんべんなく焼いていきます。
そして、マシュマロが熱い内に、グラハムクラッカーとチョコレートの上に置き、その上にまたグラハムクラッカーを置いて全てをしっかりと押さえたまま、枝を抜き、頂きます。
マシュマロの熱でチョコレートが程よく溶け、様々な食感が楽しめます。
グラハムクラッカーにピーナッツバターを塗ったり、いちごなどの甘酸っぱいフルーツを挟んだりするのもおすすめです。
デザート~ビーバーテイルズ
カナダはオタワ市のトラディショナルなお菓子と言えば、冬には欠かせないというビーバーテイルズです。
カナダにはビーバーが多く生息していますが、菓子名の通り、ビーバーの尾がモデルになっていて、地域性を表現したとてもユニークな揚げパンです。
毎冬には凍った川のスケートリンクやフェスティバルなどで多くの人が集まるため、このビーバーテイルズがよく売られています。
薄くて味わい深い揚げパンは、シナモンシュガー、レモンなどのフルーツ、チーズなどと好みで様々なトッピングが選べるところが魅力でしょう。
カナダでは、シンボル的なデザートとして、とても馴染み深いスイーツであり、当然、家庭でもよく作られているデザートです。
デザート~ナナイモバー
カナダで最もポピュラーなデザートと言えば、チョコ好きにはたまらないナナイモバーでしょう。
その名は、カナダの西側、ブリティッシュコロンビア州のナナイモ市に由来し、砕かれたアーモンド、ココナッツ、クッキー生地などに加え、チョコレート、カスタード系バタークリームが三層になったお菓子です。
チョコレート部分には、いちごやミントなどバリエーション豊富な味もプラスされたりして、ベイカリーやスーパーなどで気軽に買えるスイーツですが、その昔、炭鉱の労働者たちにエネルギーを与えるために奥様たちが作ったことが始まりとされています。
デザート~バタータルト
カナダの西側でナナイモバーが誕生していますが、当然ながらカナダの東側でも、バタータルトというポピュラーなスイーツが誕生しています。
バター、砂糖やシロップ、卵などで作られたペーストを生地へと流し込み焼き上げる、伝統的なクリスマス菓子で、そのペーストに使われる材料は、家庭によってアレンジも豊富。
一口サイズの美味しいお菓子ですが、糖分、カロリーが少々お高め。
デザート~アップルクランブル
カナダで定番のデザートとして、アップルクランブルもよく挙がっています。
クッキーのような生地に甘酸っぱいりんごのフィリング、サクサクとしたクランブルがのったパイですが、焼き立てに好みのアイスクリームを添えて頂くのが一般的。
昔ながらのスイーツでとても人気です。
カナダの食に関して、私には衝撃的な思い出があります。
過去に観た映画、「The Whole Nine Yards」という作品で、ブルース・ウィリス演じるヒットマンが、カナダのレストランでバーガーを注文するのですけれど、サーバーが持ってきたバーガーの中身を見るとマヨネーズがついていて、ブルース・ウィリスが激怒するのです。
確か、「カナダは何でもマヨネーズをつける!マヨネーズなしって言っただろう!バーガーにはケチャップだろう!」というようなセリフだったと思います。
その当時はまだカナダに行ったことがなかった私なので、「なるほど、バーガーにマヨネーズなのかー!」と、早速試してみたら、ヒットマンと私の好みは違っていたようで、とても美味しかったと(笑)。
カナダに行かなくても、映画で覚えられた、私にとって初のカナダ料理と思っています。
ちょっとしたことですが、旅先の異国で初めて知る味、料理はあるものです。
カナダは特に、先住民に加えて様々な移民も居住している国ですから、今回ご紹介した料理以外にも、実に多くの料理が楽しめること、間違いなしですよ。
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